中性脂肪の正常値はどのくらい?検査結果から分かる異常値のリスク

健康診断で中性脂肪の数値が200や300mg/dlなどと書いてあった場合、大抵は正常ではない値として再検査や生活習慣の改善を医者から促されます。

中には500や高い人では700mg/dlなんて人までいて、その数値を見て慌てて対策をしないといけないと思った人もいるのではないでしょうか?

それらの数値は正常値よりもかなり高い異常値ですので、何らかの対策を行っていく必要があります。

参考ページ
中性脂肪とは?下げる方法-食事、運動、サプリ、薬の総まとめ

中性脂肪値は「中性脂肪」または「TG」と書かれた数値

中性脂肪の正常値はどのくらい?検査結果から分かる異常値のリスク

定期的な健康診断は自分の健康状態をチェックし、いち早く体の異常に気付けるなどさまざまなメリットがあります。
なかでも中年世代が気になっているのが、コレステロールや中性脂肪なのではないでしょうか?

健康診断では中性脂肪を「TG(トリグリセリド)」と表示されていることもあり、血中の中性脂肪の量を調べることで肥満の指標となる数値です。

実は中性脂肪の基準値は統一されていない状態

実はこの中性脂肪ですが、具体的にどれくらいまでが正常なのか、明確な基準値がないのを知っていますか?

中性脂肪の基準値は、発表している場所によって違いがあり次のようにきちんと統一されていないのです。

日本動脈硬化学会による中性脂肪の基準値

29以下:低中性脂肪血症
30 ~149mg/dl:正常
150~299mg/dl:軽度高中性脂肪血症
300~749mg/dl:中等度高中性脂肪血症

750以上:高度高中性脂肪血症

日本人間ドッグ学会による中性脂肪の基準値

男性の場合:39〜198mg/dl
女性の場合:32〜134mg/dl

基準値は日本動脈硬化学会の数値が主流

このように、基準値は発表している学会によってさまざまです。
ただし、基本的には日本動脈硬化学会の数値を基準にしていることが多いです。
日本動脈硬化学会は動脈硬化の予防や治療方法を研究するための学会で、1974年に発足した歴史ある団体です。
古くから日本動脈硬化学会の数値を元に、患者への治療や指導が行われてきました。

日本の中性脂肪の基準値は厳しすぎる?

中性脂肪の基準値は日本動脈硬硬化学会の基準値が中心になっているものの、その基準値が日本人向きではないとして、新しく設けられたのが日本人間ドッグ学会の数値。
こちらは2014年4月に発表された新しい基準で、人間ドックを受診した人たちのデータベースを元に出した、中性脂肪の数値です。
こちらは男女別に基準値が設けられているのが特徴で、日本動脈硬化学会よりも数値が緩和されています。

この新しい基準に合わせることで、今までは治療が必要だと判断されていた患者が減り治療費の削減になるとの意見がある一方、病気を見逃す可能性もあるとして賛否両論が巻き起こっています。
それゆえ、現時点では基本的に日本動脈硬化学会の基準値に則っている病院がほとんどなのです。

中性脂肪の基準値=30~149mg/dl

基本的に中性脂肪の正常値とされているのは、30~149mg/dlです。
中性脂肪は人が生きていくために欠かせないエネルギー源であるため、これよりも多すぎても低すぎても体にとってリスクがあります。

中性脂肪の数値を検査する方法

中性脂肪の正常値はどのくらい?検査結果から分かる異常値のリスク

中性脂肪の数値を検査する方法は、採血での血液検査が基本です。

通常の診療で必要に応じて検査する場合は保険適用ですが、健康診断目的で中性脂肪だけを検査するのは、保険適用外の通常の診察よりも高額になります。

中性脂肪の検査前は12時間以上の絶食が必須

中性脂肪を正確に検査するには、食事の変化に影響しない時間帯を選ぶ必要があります。
そのため、基本的には検査の12時間前から絶食をして中性脂肪を上げない環境を整える必要があります。
ただし、前日でも注意したいのが飲酒です。
アルコールは分解に時間がかかるうえ、肝臓でアセトアルデヒドという物質が発生します。
アセトアルデヒドは肝臓での脂肪の分解を抑制する働きがあり、血液中の中性脂肪値が上昇しやすくなります。

そのため、たとえ前日でも遅めの夕食は診断結果に影響が出る可能性もあります。
寝酒が習慣化している人も検査前日はお酒を控え、せめて夕食も午後7時くらいで済ませましょう。
アルコールのほか、焼き肉や揚げ物などの脂っこい食事も中性脂肪の変動を防ぐために控えめにしたいですね。

基準値も空腹時を前提に設定されている

先ほどご紹介した基準値も、空腹時の検査を前提に設定されたものです。
中性脂肪の上昇のピークは食後4~6時間後。
食後2時間後は空腹時とくらべて、1.5倍も中性脂肪が跳ね上がっています。
朝うっかり朝食を食べてしまわないよう十分に注意しましょう。

中性脂肪の異常値は4ステップに分けられる

中性脂肪が基準値から外れている場合、それぞれの数値で次のように分類されています。

・低中性脂肪血症…29mg/dl以下

中性脂肪が正常値よりもはるかに低い場合、栄養不足の可能性があります。
ほかにも、甲状腺の機能異常など病気が隠れている場合も考えられるため、原因を突き止めて適切な治療が行われます。

・軽度高中性脂肪血症…150~299mg/dl

正常値よりも上回っている場合は、軽度の脂質異常症として食事療法や運動療法が進められます。
この段階では特に薬などは服用せず、医師の指導の下食生活や運動習慣を取り入れることで十分正常値に戻せる可能性があります。

・中等度高中性脂肪血症…300~749mg/dl

正常値を大幅に上回っている場合、ほかに病気が隠れていないか確認後、高血圧や動脈硬化などの危険因子があれば薬物療法を取り入れます。

・高度高中性脂肪血症…750mg/dlを超える

病気を防ぐため、薬物療法での治療が必須になります。

中性脂肪が異常値の場合に考えられる病気

このように中性脂肪の診断結果が異常値だった場合、どんな病気のリスクが考えられるのでしょうか?

中性脂肪が高い場合に考えられる病気

・動脈硬化・狭心症・脳卒中

このように中性脂肪が高い場合は、血管に動脈硬化が進んでいる可能性があります。
動脈硬化が進めばやがて脳や心臓の付近に血栓ができ、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすリスクも高まってしまいます。

・脂肪肝

同じく中性脂肪を溜め込む肝臓も、脂肪がたまり過ぎた状態で起きる脂肪肝につながることがあります。
脂肪肝は糖尿病などの生活習慣病に発展することも多く、その後肝硬変や肝臓がんなどの命に関わる疾患にまで悪化することも!
早期の段階で食生活の見直しおよび、適切な運動療法を取り入れることが大切です。

・糖尿病

中性脂肪が異常値になるような、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣は、糖尿病になりやすいものと共通しています。
そのため、糖尿病患者は中性脂肪やLDLコレステロールが高い人が多くいます。

・ネフローゼ症候群

ネフローゼ症候群は尿にタンパクがたくさん出るため、血液中のタンパク質が減りむくみが出る疾患。
また、血中のコレステロールも増加する症状があり、中性脂肪も連動して高い数値が出ることがあります。

・クッシング症候群

クッシング症候群は中年の女性に多く見られる症状で、副腎で分泌されるホルモン、コルチゾールの過剰生成が起きる病気です。
このホルモンの過剰分泌により、肥満や高血圧、中性脂肪やコレステロールの増加などさまざまな症状が出ます。

・閉塞性黄疸

閉塞性黄疸は、皮膚や粘膜部分が胆汁の色素であるビリルビンにより黄色く染まる症状のことです。
原因は何らかの理由で、胆汁を通す胆管が詰まり十二指腸まで届かないことで胆汁が皮膚や粘膜に黄色い色素として出てきてしまうこと。
胆汁は脂肪を分解する消化液のため、きちんと排出されないと脂肪の分解が進まずそのまま中性脂肪値も高くなります。

・甲状腺機能低下症

甲状腺は気管近くにある場所で、甲状腺ホルモンを分泌しています。
この甲状腺ホルモンは中性脂肪が高いと正常に働かなくなり、多すぎると疲れやすい、体重減少や多汗などの症状が出ます。

中性脂肪が低い場合に考えられる病気

中性脂肪が基準値よりも低い場合、考えられるのは次のような病気があります。

・甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモンが過剰に出過ぎてしまうことで、細胞の新陳代謝が活発になりすぎる質感。
手先の震えや疲労感、動機などが特徴で、代謝が活発すぎることが原因で溜め込まれた中性脂肪が分解され、体の中性脂肪が激減してしまうのです。

・低中性脂肪血症

低中性脂肪血症は中性脂肪が基準値よりも低い状態のことで、原因は長時間の空腹やダイエットによる栄養不足が代表的。
特にダイエットで食事制限をしている人が多い女性に多く、または遺伝や体質も関係しています。

・アジソン病

アジソン病は副腎ホルモンの分泌が低下する副腎皮質機能低下症が慢性化し、両側の副腎の90%以上が損なわれた状態。
原因は結核や自己免疫疾患などで、まれに先天性のものもあります。
難病指定を受けている疾患で、日本では年間660例ほどが報告されています。

中性脂肪が正常値の割合(男女別、年代別)

中性脂肪が正常値の範囲にある人は、実際にどれくらいの割合なのでしょうか?
男女別、年代別の割合を一覧表にまとめました。

20代 30代 40代 50代 60代 70代
男性 77% 58% 55% 51% 56% 63%
女性 94% 86% 80% 75% 68% 66%

この表を読み解くと、やはり年代が上がるにつれて正常値の割合が減少していくことがわかります。
中年期を過ぎて代謝が低下すると、より中性脂肪やコレステロール値が高いメタボ予備軍の割合が高まってきます。

(見出し)中性脂肪の平均値(男女別、年代別)

20代 30代 40代 50代 60代 70代
男性 121 161 171 155 164 132
女性 83 86 104 124 132 123

こちらが年代と男女別の中性脂肪の平均数値です。
ここで注目したいのが、男性40代の171という数字。
40代という年代は若いころから続けている、脂っこいものなどのハイカロリーな食事や飲酒を続けていながら、だんだん運動量も減少し代謝も悪くなっています。
働き盛りの世代こそ、実は脂質異常症になるリスクが高く、高血圧や突然の心筋梗塞、脳梗塞などに見舞われる可能性も十分にあるのです。

1,000mg/dl以上は急性膵炎を起こしやすく危険!

特に中性脂肪値が10000㎎/dlを超えてくると、急性膵炎(すいえん)のリスクが跳ね上がります。
急性膵炎は膵臓が自身で出している消化液によって溶けてしまう病気。
発症すると食後2時間程度で左の上腹部に激痛がはじまり、それが継続します。
その痛みから嘔吐やショック症状が起きることもあり、自分では動くこともままならないほど。
このような激痛が走ったらすぐに緊急入院して、適切な治療を受ける必要があります。
急性膵炎は悪化するとやがて膵臓が壊死して腹膜炎を併発し、死亡率も高い病気です。

たとえ急性膵炎を発症しておらずとも、心筋梗塞や脳梗塞などの危険な病気にかかるリスクはとても高いと言えるのです。

正常値を超える中性脂肪は男性に多い

中性脂肪の正常値を超える人の割合は、男性に多いのがわかります。
このように女性の方が中性脂肪の値が低い理由は、女性ホルモンのエストロゲンにあります。
エストロゲンは女性らしい体型を作り、乳房や子宮などの女性器の発達を促進するホルモン。
さらに脂肪代謝を促進して内臓脂肪を溜め込みにくくする働きも持っています。
そのため、若い世代では女性の方が中性脂肪の値が低く、エストロゲンがない男性の方が中性脂肪やコレステロール値が高くなりやすいのです。

中性脂肪が正常値を超え始めるのは30代から

各世代の中でも、中性脂肪が正常値を超える割合が高くなるのが30代から。
30代になると10代や20代とくらべて代謝が低下し、運動量も自然と減少するため同じ食生活を続けていくと脂肪を溜め込む割合が高くなってしまうのです。
20代までは特に食生活や運動習慣を気にせずに生活してきた人も、30代を過ぎたら一度今までの習慣を見直して健康的な生活を送っていきましょう。

中性脂肪を正常値まで下げる方法

それでは、現在中性脂肪が高いと指摘された人は、どうやって正常値まで下げていけばいいのでしょうか?
まずは中性脂肪のタイプの違いから見ていきましょう。

中性脂肪は、粒子が大きいタイプ、粒子が小さいタイプの2種類ある

(小見出し)粒子の大きい中性脂肪は、食事由来のもの

中性脂肪のうち、粒子が大きいタイプは食事から摂取した脂質や糖質、そしてタンパク質が原料で作られたもの。
中性脂肪の数値を減らすには、この粒子が大きいタイプをなくす生活習慣を心がけるのが大切。
こちらは食事バランスや運動習慣を取り入れるなどの改善によって、ある程度血中濃度を減少させることができます。

粒子の小さい中性脂肪は、肝臓で作られたもの

そして粒子が小さいタイプの中性脂肪は、肝臓で生成されたものです。
こちらは消費したカロリーに合わせて、肝臓で必要に応じて生成されており血中などに蓄えられて、エネルギーが不足したときにいつでも燃焼されるよう備えています。

手っ取り早く中性脂肪値を下げるには、食事の中性脂肪を減らすべし

このように手っ取り早く中性脂肪を下げるには、食事内容を改善することが大切です。
特に意識したい、食事内容やそのポイントを見てみましょう。

中性脂肪を下げるには、糖質・脂質を控えた食事内容

中性脂肪を下げる食事とは、ずばり和食

中性脂肪を増やす大きな原因になる、糖質と脂質を控えめにした食生活を意識しましょう。
中でも和食は油をあまり使わない煮物料理が多く、糖質もお茶碗に盛ったご飯のみのため、パスタやパンとくらべて低糖質な食品です。
また、主食のほかに野菜を中心とした副菜と、魚のメイン料理も多いため中性脂肪を減らすのに有効なDHAとEPA、そして野菜から食物繊維やビタミンも豊富に摂取できます。
これまで洋食を中心とした食生活を続けてきた人は、ぜひ和食メニューを中心に切り替えていきましょう。

飲酒は中性脂肪に対し、絶対的に悪影響

アルコールは中性脂肪を余分に蓄える大きな原因です。
アルコールそのもののカロリーも高く、さらに脳の中枢神経が麻痺して食欲のリミッターが外れてしまいます。
普段よりも食べ過ぎて余分な脂肪を蓄えやすいため、できるだけお酒を控えましょう。

運動によって中性脂肪をエネルギーとして消費する

中性脂肪を減らすには食事療法と運動療法の組み合わせが有効です。
中性脂肪はもともとエネルギー源の一つであり、糖質に次いで体が生命維持をするために欠かせないもの。
しかし、現代人はデスクワークや車などの乗り物の利用によって、運動不足になっている割合が高くなってきました。
そのため、食事から摂取したカロリーが消費されずに、中性脂肪として溜め込まれやすいのです。

糖質・脂質をエネルギー源として消費する​有酸素運動

特に糖質と脂質をエネルギーとして消費しやすいのが有酸素運動です。
有酸素運動は軽い負荷のものを長時間続ける運動のことで、ウォーキング、ジョギング、水泳などが対象です。
運動する時間は1日30分以上が目安で、1週間の運動時間合計は180分以上が理想。
つまり、平日は時間がとれない人は週末に遠くまでウォーキングをしたり、プールで思い切り泳いだりするのも、中性脂肪の減少につながります。

また、有酸素運動は自宅でできるメニューも多くあります。
代表的なのが踏み台を昇ったり降りたりする踏み台昇降運動や、ヨガにストレッチ。
場所を使わずにできるものも多いので、雨の日や外に行く時間がとれない日もテレビを見ながら気軽にエクササイズをやっていきましょう。

中性脂肪を下げるには、最低3ヶ月くらいかかる

中性脂肪の減少は長期的に食事と運動療法を続けることが鍵です。
継続して運動していくことや、和食を中心とした生活を心がけることで、少しずつ数値が改善していきます。
個人差はあるものの、中性脂肪が減少して安定するにはおおよそ3か月の期間が必要。
また、たとえ中性脂肪が下がったとしてもそこで元の生活と同じ日々を過ごせば、また短期間で正常値以上の中性脂肪値に戻ってしまいます。
極端な食事制限や激しい運動によって短期間で結果を出そうとせず、長い目で見て生活の一部として無理なく行えるゆるやかな食事制限と運動療法を取り入れるのが成功のカギです。

中性脂肪が下がらない場合、内科を受診すること

このように食事や運動に気をつけても、なかなか正常値への境界線が越えられない場合は、ほかに病気が潜んでいる可能性があります。
たとえばネフローゼ症候群や甲状腺機能低下症などは、必然的に中性脂肪やコレステロール値が上昇してしまう病気。
中性脂肪値が下がらないのは、体から発せられる異常のサイレンかもしれません。
そのままにしておかずに、早期のうちに精密検査を受けて医師による適切な治療を受けましょう。